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(72)水から見える地球の姿
再生時間 14分 制作年度 2005年地球温暖化の影響が、東京の湧水にも現れているという。首都大学東京で地理情報学を研究している松山洋さんは、この東京の湧水の調査をしています。松山さんの研究テーマは「水」。水の循環、水の収支を研究する「水文学」を専門に研究しています。今回の調査では、ほぼ半数の湧水で水温の上昇が確認できました。現地調査をモットーとする松山さんのもう一つのフィールドが、世界でも有数の豪雪地帯、越後山脈にある巻機山です。松山さんはここで「雪を水に換算した時の値」である積雪水量の測定を続けています。調査の結果巻機山の積雪水量は、日本の平均年間降水量を大きく上回りました。過去の調査や衛星の情報に頼るだけではなく、自らデータを収集することで新しい発見がある。それを積み重ねることが、地理「情報学」である。世界に一つだけのデータを求めて、松山さんのフィールドワークと研究を追った番組です。
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(71)マグマの生成過程、地球の内部構造の研究の第一人者
再生時間 14分 制作年度 2005年東京工業大学大学院教授、地球惑星科学専攻の高橋栄一さんは「生きている地球」の内部構造を研究しています。マグマの生成過程やマグマの化学組成などを調べるために超高圧・高温状態が再現できる高橋研究室の「マグマファクトリー」の実験機器を使って研究しています。その実験で得られたデータを分析して地球の内部構造を調べているのです。また「地球のへそ」といわれるハワイの火山周辺を、日本が世界に誇る有人海底探査船「しんかい6500」で調査。ハワイの海底構造を世界ではじめて明らかにしました。「生きている地球」の内部構造の研究を紹介します。
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(70)宇宙で楽しい実験 ~宇宙生物学への招待~ 黒谷 明美
再生時間 14分 制作年度 2005年宇宙船ミールのくるくると宙返りをし、からだをそり返し、後ずさりをする日本アマガエル。なんともユニークな宇宙実験の生みの親が宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究本部 助教授 黒谷明美さん。現在は生物発生のなぞに迫るべくバフンウニを使い、将来の宇宙実験を想定した過重力、微少重力での実験を繰り返しています。宇宙生物学という新しい分野のパイオニアとして常に先頭を歩み続けてきた黒谷明美さん、その足跡を追う番組です。
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(69)虫が教える適応の力
再生時間 14分 制作年度 2005年地球上に3万9千種類以上のカメムシが生息しています。30年以上、このカメムシの生態を研究し続けてきた京都大学大学院の藤崎憲治さん。最初のカメムシは、3億年前に地球上に登場したと言われていますが、カメムシには、人間が持っていない様々な能力が備わっていることがわかってきました。藤崎さんは今、その力を人間社会に応用できないかと研究を始めています。
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(68) 仮説=すべての物質は超伝導体になる!!
再生時間 14分 制作年度 2005年大阪大学極限量子科学研究センターの清水さんは、「物理の超高圧の分野」を研究しています。「全ての物質は圧力をかけていくと金属になり、やがて全て超伝導体になるのではないか?」これを研究テーマに、世界に先駆けてこれまでに7つの元素が超伝導体になることを証明してきました。清水さんの究極の目標は、「原子番号1番・水素室温での超伝導の実現」です。番組では、研究室を訪ねて、超高圧の実験で「常温なのに水が氷になる」不思議な瞬間等を紹介し、今後の展望についても紹介します。
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(67)ボールが止まって見える?超高速ビジョンの世界 石井 抱
再生時間 14分 制作年度 2005年水を入れた風船をナイフで突き刺すと一瞬、水の風船が見える。私たちが普段見ることが出来ない1000分の1秒の世界、この世界をより身近にわかりやすい形で広めようとしている研究者、広島大学大学院 助教授 工学研究科 ロボティクス研究室、石井 抱(いだく)さん、石井さんが開発した決して負けることがない「じゃんけんロボット」、投げられたボールを必ず打ち返す「バッティングロボット」、150キロを超えるボールも確実に打ち返します。その能力はどこから来るのか。そのなぞに迫ります。
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(66)バイオと化学のコラボレーション! 酵素が行う有機合成
再生時間 14分 制作年度 2005年薬などを始め、人間に役立つ有機物。その有機物を人工的に作ることを、有機合成と言います。しかし思ったとおりの有機物を合成することは難しく、北海道大学の及川英秋さんは、酵素を使って、簡単に有機物を合成する方法を研究しています。酵素とは、生物が体内に持っている、特定の化学反応の手助けをする化合物であり、特に、人体の中で役立つ、複雑な有機化合物・ペプチドを、酵素を使って合成する方法も研究しています。有機化学とバイオ科学という二つの分野を融合した新技術「有機化合物の酵素合成」の研究をする及川さんを追いました。
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(65)スペクトルは分子からの手紙 濵口宏夫
再生時間 14分 制作年度 2005年目に見えない分子が、光に託して発信してくる「スペクトル」というメッセージ。この「メッセージ」を解読して、物質の構造や仕組みを分子レベルで調べているのが、東京大学の濵口宏夫さん。『自然科学でもやはりスペクトルを観測してみないと分からないことがたくさんあります』という濵口さんの成果の一つが磁性イオン液体(磁石に引き寄せられる不思議な液体)です。スペクトルから、細胞の生死や肺ガン診断など、生命を解明する研究も進めています。番組では、濵口さんが、分子から受け取った「メッセージ」の数々を紹介します。
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(64)GPSで大気を測る
再生時間 14分 制作年度 2005年カーナビゲーションなどに使われていることで知られるGPS。このGPSが、位置を測るという役割以外で、私たちの生活に大きな影響を与えようとしている。自分が今いる場所を知ることが出来る画期的なシステムが、大気中に含まれる水蒸気の量を測定し、天気予報の精度を上げることが期待されています。GPSどうのように利用され、我々の身の回りにどのような変化が起きてくるのか紹介していきます。
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(63)二本足で歩く生体ナノマシン~キネシンの最新研究~
再生時間 14分 制作年度 2005年私たち人間の体のなかにある「キネシン」。その姿はあまりに小さくて、動いている様子を観察することは出来なかった。「キネシン」を光らせることで、それを可能にしたのが「一分子蛍光イメージング」。「キネシン」は人間のように二本足を交互に動かし歩いていたのだ。『物理の言葉で生命がどうやって働くのか理解したい』という富重道雄助教授が、「生体ナノマシン」と呼ばれるキネシンの歩くメカニズムを「生体物理学」の分野から解き明かす番組です。
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(62)難病治療に道を拓く人工リンパ節
再生時間 14分 制作年度 2005年再生医療が注目を浴びる中、臓器の再生に成功した科学者がいます。免疫監視機構の分野で世界をリードする渡邊武医学博士。博士は人工材料のコラーゲンスポンジとストローマ細胞(臓器再生に欠かせない細胞)を組み合わせ、免疫系の中でも重要な役割を果たしているリンパ節の人工的な再生に世界で初めて成功しました。今後、重症感染症やガンなど免疫力が落ちた生体への移植や創薬への利用が期待されています。
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(61)植物の細胞自殺の謎 ~秘められた戦略を追う~
再生時間 14分 制作年度 2005年植物の秘められた戦略のひとつに「プログラム細胞死」があります。動物の細胞死については研究が進んでいますが、植物の場合はその語源「葉が落ちる=アポトーシス=プログラム細胞死」であるにもかかわらず詳しいことは不明でした。京都大学の西村いくこさんは、長い間わからなかった植物のプログラム細胞死を引き起こす実行因子を突き止め、そしてVPEと名付けられたそのタンパク質は、ウィルスに感染した細胞を自殺させ、ウイルスの広がりを防ぐというシステムの中でも特に重要な役割を担っていることも証明しました。世界に先駆けて解明された植物のプログラム細胞死と西村いくこさんの研究を追いました。
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(60)自然の作るデザインが未来を描く! ~自己組織化によるナノテクノロジー~
再生時間 14分 制作年度 2005年雪の結晶のように、人が手を加えなくても、自ら安定した形に組みあがっていく自己組織化。この現象を世界で初めてナノテクノロジーに応用した研究者が、北海道大学の下村政嗣さんです。従来、半導体などに使うフィルムは、膨大なコストをかけ、精密機器で大きな金型を一つ一つ小さくしていく方法で作っていましが、下村さんは分子・原子が自ら組みあがっていく自己組織化を利用し、高分子溶液を蒸発させるだけという簡単な方法で、様々な規則的な構造をもつフィルムを作成し、このフィルムは医療やエレクトロニクスなど、幅広い応用が期待されています。自然と組み上がる力を利用した下村さんのナノテクワールドに迫ります。
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(58)物質をアト秒レベルで制御する 科学者 大森賢治
再生時間 14分 制作年度 2005年2004年。「原子、分子に情報書き込み」記事が新聞紙上を賑わしました。この夢の技術に迫ろうとして研究しているのが分子科学研究所の大森賢治さんです。分子というのは粒であると同時に、波でもある。大森さんはその波の性質に注目。まず、分子の波を制御する世界最高レベルのレーザー干渉計、APM(アト秒位相変調器)を開発しました。この干渉計を使って分子に、タイミングをずらした2本のレーザーパルスを当てることにより波束が干渉し合い、分子全体が複雑な波形になる。レーザーを使って物質をアト秒レベルで制御する研究をを紹介する番組です。
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(57)音で微小物体を自在に操る! 超音波マイクロマニピュレーション
再生時間 14分 制作年度 2005年今、話題のバイオテクノロジーや超小型機械の開発といった分野で期待されている新技術。それは、微小な物体を触れずに動かす「非接触マイクロマニピュレーション」です。産業技術総合研究所の小塚晃透さんは「超音波」を使ったこの研究をしています。超音波とは、一定の条件で壁に反射させると定在波という波形を作り出します。そこに微小な粒子を入れると、その粒子を捕らえ、見事な縞模様になります。小塚さんはその原理を応用して4つの方向から超音波を発射し定在波を作り捕らえたものを立体的に自由に動かすことに成功しました。この技術は、将来バイオテクノロジーや医療など様々な分野での応用が期待されています。
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(56)非接触ICカードが拓くネットワーク社会~椎橋章夫~
再生時間 29分 制作年度 2003年椎橋章夫さんは、ICカード"Suica"の開発をしています。Suicaは、2001年から首都圏を中心に導入が始まった、ICカードを利用した鉄道乗車券です。従来の磁気カードと比べ、Suicaはメンテナンスを必要とする部品が少ないため故障が少なくまた、セキュリティが格段に向上したため偽造や不正使用ができないというメリットもあります。さらに、改札機や券売機は、ネットワーク上のサーバとつながっているため、カードの管理ができるという特徴も持っています。椎橋さんは、ICカードの開発だけではなく、ネットワークの設計も行っています。
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(55)46億年・岩石から地球の歴史を探る 鈴木和博
再生時間 29分 制作年度 2003年名古屋大学年代測定研究センター長の鈴木和博教授は岩石を調べることで地質調査をしている。鈴木さんは、放射性同位体の半減期が一定であることを利用し、自らチャイムという年代測定器を開発した。鈴木さんは、チャイムを利用して、日本最古の石が30億年前に形成されたジルコンを含むことを発見した。日本最古の石をさらに解析することにより、日本の国土の一部が、長い年月をかけて朝鮮半島や中国大陸から移動してきたことも推測される。チャイムは、日本史研究にも活躍していて、鎌倉時代に日本に襲来した元寇船の建造地が中国・泉州であることを解明した。鈴木さんは現在、チャイム法により、太古の時代に起きた、ゴンドワナ大陸の移動と衝突を調査している。
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(54)IT~情報技術~が変える農業
再生時間 29分 制作年度 2003年過疎化の進む農村の活性化を図るため、インターネット、無線LAN、センシング技術などのIT(情報技術)を利用した農業を研究している農学博士 平藤 雅之さん。農林水産業・環境分野では、現場情報をリアルタイムに入手することが重要な課題であり、また計測を屋外で行うため情報伝送を無線通信で行う必要があります。この研究で開発されたのが圃場モニタリングロボット、「フィールドサーバ」。この「フィールドサーバ」の開発背景、実証テスト、また宇宙ステーションの中で植物が育てられる宇宙農園でのシミュレーションを通して、平藤さんの人物像と平藤さんのめざす人間と植物が快適な環境の中で共生できる空間の研究を紹介します。
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(53)燃える氷メタンハイドレートを探れ!増田昌敬
再生時間 29分 制作年度 2003年●様々な分野で活躍する研究者にスポットをあて、その研究内容・業績・その人物像・生きざまを紹介し、研究者のすばらしさを伝えます。●今回は、メタンハイドレートの増田さんです。 メタンガスを氷のようなもので閉じ込めたようなものが、メタンハイドレートです。メタンハイドレートは、日本近海の海底に多量に存在する事がわかっています。その量は日本の消費するエネルギーの約100年分とも言われています。
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(52)液晶ディスプレイ「夢」を形に変えたエンジニアたち~伴 厚志 久保真澄~
再生時間 29分 制作年度 2003年現代社会のさまざまな電化製品に利用されている「液晶ディスプレイ」。液晶と固体の性質を兼ね備えた物質である「液晶」をディスプレイ表示として開発するにはさまざまな問題点を克服してゆかねばなりませんでした。その液晶ディスプレイを世界ではじめて製品化に成功し、現在も新たな液晶ディスプレイの研究・開発している企業(シャープ)があります。その企業の中の研究者(開発技術者)にスポットをあてて、企業のかなで働く研究者とはどんな人たちなのか、どんな研究・開発をおこなっているかを紹介してゆきます。伴 厚志さんは、画面の明るさと低消費電力を両立するために、画像の元となる画素を小さく作る技術や、SHAと呼ばれる新構造を開発しました。久保真澄さんは、SHA構造を利用して明るいところでも暗いところでも見える液晶ディスプレイを開発しました。